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8月公演
「憫笑姫-Binshouki-」

物語の舞台は、

⻑年に渡り近隣国との争いが絶えないとある国。

熾烈な戦いが続く国境とは違い、

その街に生きる⺠たちは 平穏な日々を過ごしていた

 

幼い頃に母を亡くした姉妹、ミラとエラ。

姉のミラは親代わりとして、

自身の全てを懸けて妹のエラを育ててきた。

仲睦まじく暮らす姉妹はある出来事により、

揃って城へと召し上げられることに。

煌びやかな世界を夢見てやってきた二人を待ち受けていたのは、

憐れみの笑みを浮かべる貴族たち。

その中心に立つ王から剣を与えられたミラは、

有無を言わさず戦地へと 送り込まれてしまうーーー

これは姉妹の物語。

姉は妹を守るため、

戦旗を掲げ戦場に立つ。

1193-1

幼い頃に戦争で母を亡くした姉妹、 ミラとエラ。 唯一の肉親として互いを思いやり、 支え合いながら過ごす日々。

ある時、国の王であるサミュエルに 見初められたミラは、 エラを連れて城へと召し上げられることに。

側近であるモールドの案内により 城へとやってきた姉妹。 ミラの世話係として三人の 女官と出会う。

ビアンカ、アメリア、プッコによって 着替えを済ませたミラは、 サミュエル王の待つ広間へと通される。

そこに待ち受けていたのは大勢の貴族たち。 憐れみの笑みを浮かべる彼らの前で、 王はミラに剣を授け、 戦場に出て戦うように命じる。

拒絶するミラだったが、 エラを人質に取られてしまう。 同様に、三人の女官にも戦場行きの命が下る。

訳も分からず戦場へ放り込まれた四人。 まともに剣を握ることもできず 散り散りになってしまうが、 騎士団長・ケイレブの助けもあり、命からがら生き残る。

曲がりなりにも初陣を終えたことを報告するため、 王に謁見するミラ。 震える身体で立ち尽くしているところに、 エラがやってくる。 妹に不安な思いを抱かせないよう、 笑顔で褒美を受け取る。

姉の様子に違和感を覚えたエラは、 ミラを先に部屋へ帰し、 王と側近の元へと向かう。

再度出陣の時が訪れる。 軍の待機所に、覆面の女を連れたモールドが現れ、 此度の戦闘に彼女も同行すると告げる。

ミラ、ビアンカ、アメリア、プッコ。 それに覆面の女を加えた五人で、 悪戦苦闘しながら戦地を駆ける。

敵将に襲撃されるミラと覆面の女。 切り裂かれた覆面の下から現れたのは、最愛の妹だった。

妹を守るため、ミラはついに敵将を刺してしまう。

人を傷つけてしまった罪悪感と、 姉に人を傷つけさせてしまった罪悪感。 互いを思い合いながらも、すれ違ってしまう姉妹。

幼い頃の記憶が蘇る。 亡くなる前の母と交わした約束。 エラを託された記憶。

ミラは自身を奮い立たせ、 ケイレブに剣の指導を請う。 少しずつ剣技を磨いていく姿を、 エラと女官たちが見つめていた。

妹を守る強さを求め剣を握ったミラと同様に、 エラも剣の稽古に合流する。 ビアンカ、アメリア、プッコも加わって、 五人は剣技を磨いていく。

戦場を駆ける五人。 剣士として成長した彼女たちの活躍が、国中に轟き始める。

戦果報告のため王に謁見する女隊。 そこへ伝令兵が飛び込んできて、 報告を受けたミラはまた戦場へと舞い戻る。

自身ではなくミラに助けを求めた 兵への報復として顔面を斬り裂いたサミュエルは、 何かを思いついた様子でモールドに指示を出す。

戦場。 今日もまた手筈通りに敵兵を倒し、勝鬨を上げる。 突如として、覆面をした兵が現れる。 その人物が放った一閃が、 虚を衝かれたミラの顔面を斬り裂く。

覆面兵の左手に怪我を負わせたものの、 取り逃がしてしまったエラとケイレブ。 負傷したミラに代わり、 戦果報告のため王の間を訪れる。

全てを知ったエラは、 サミュエル王の顔面を殴り飛ばす。

憔悴した様子のミラを連れ、 王の間を出るエラ。 姉妹を追いかけていく女官たち。 一人残ったケイレブが追手の兵を次々と斬り伏せ、 サミュエル王との一騎討ちが始まる。

かつてミラがそうしたように、 手を引き歩くエラ。 モールド率いる追手が迫り、 エラは姉を守るため一人で立ち向かう。

追い詰められる姉妹。 そこにビアンカ、アメリア、プッコが飛び込んでくる。

自分を守るために戦う四人の背を見つめるミラ。 心も身体も傷付き、 どうしても剣を抜くことができない。 そこへ、サミュエル王との戦闘でボロボロになった ケイレブが連れて来られる。

立ち向かわないミラを叱責しようとするケイレブ。 ただただ震えているだけのミラを見て、 優しく頭を撫でる。

姉を逃すため背中を押すエラ。 その背後にはサミュエル王が迫っていた。 妹を置いて逃げ出すこともできず、 戦う覚悟もできないまま、蹲るミラ。

そこにかつての自分の姿が浮かび上がる。 幼い妹の手を引いて歩いた、幼い自分の姿。 "何があってもエラを守る"と決めた、 あの頃の決意と覚悟。

ゆっくりと立ち上がるミラ。 サミュエル王に斬りかかり、 最後の戦いが始まる。

とどめを刺そうとするモールド。 その左手に巻かれた包帯を咥え上げたエラが、 渾身の力で剣を突き刺した。

ミラとサミュエル王の戦い。 ケイレブの助力を受けながら斬り結ぶ。

瀕死のケイレブがサミュエル王を羽交締めにし、 その隙を突いたミラが、ついに王を斬り伏せた。

戦いが終わり、絶命するケイレブ。 追いかけてきた騎士団員たちが、黙祷の意を込めて敬礼する。 師との別れにミラは、堰を切ったように声を上げて泣いた。

戦いから時が過ぎて。 新たな王のお披露目に、 町中の人間が集まっている。

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