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11月公演
「戰御史-ikusaonshi-」
ザッ ザッ ザッ ザッ
地面を蹴り進む音が鳴り響く
列を成した分隊が進軍している姿が見える
ザーッ ザーッ ザーッ ザーッ
降り始めた雨によって地面がぬかるんでいく
雷鳴が轟く音が聞こえる
行軍から一人はぐれた男が
雨風を凌ぐため古びた屋敷へと辿り着く
室内は薄暗く 床に散乱した”何か”が時折 稲光に照らされる
訝しむ男の元に 燭台を手にした男が現れる
ゆらめく蝋燭の炎を挟み 相対する二人の男
男はその男に見覚えがある、ような気がした
男が一本の刀を指差し 導かれるように男が拾い上げる
ザザッ ザザッ ザザッ ザーーーーー
ここで男の意識は途絶えている
混濁する視界の中で 蝋燭の男が笑っているのが見えた
これは戰場の物語
この記憶の主は、果たして
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